“アコースティックライブ歌霊(うただま) Vol.2”として、ひっそりとした ライブ活動を展開している宇井かおりさんです。
 開場に間に合わなかったので、せっかく整理券付き前売りを買っていたのに、 随分後ろの方で見ることになってしまいました。お客さんの入りはほぼ満席、 90人くらいでしょうか。
 ステージ上には小さなテーブルが置かれていて、いつものように蝋燭と 一輪差しにほとんど枝ばかりの花がありました。19:35頃開演。宇井さんは 前回と同じような着物の合わせの赤い服に黒のパンツ姿でした。サポートは ギターのみ。

    おもむろに蝋燭に火をつけて挨拶。何故かお客さんから小さな笑いが
    起こりました。
 MC 「こんばんは。シリーズ化してきました歌霊。皆さんたくさんお酒を飲んで、
    2曲目くらいから眠って、気がついたら終わっていたという状況にしま
    しょう」
 1. パライソ
    何かの映画で見た言葉だそうで、天国を意味するそうです。1コーラス目の
    終わりでピアノに移動して、主旋律を弾いていました。
 MC 「暗い歌ですが、これを歌霊のテーマにしたいと思います」
    ここでギターの かくしょうた さんを紹介。テーブルに置いてあるのは桜
    だそうで、本当は梅にしたかったとか。でも梅は高くて買えなかったとか。
    なので、衣装は梅を意識した赤い服にしたそうです。スタイリストの
    たみちゃん は「頭に梅を差しな」と言っていたとか。
    アンケートに「あれやって、これやって」というのを書いて欲しい。でも
    「踊れ」というのは勘弁して下さい。
 2. 薔薇色の冬
    雪の歌。
 MC 雪の日はずっと家にいた。一日中暖房をつけていることなんて無いので、
    もし停電になったらどうしようと心配になった。トイレットペーパーが
    無くなってしまい、家中のポケットティッシュをかき集めて一晩過ごした。
    今日は節分なので、豆を買ってきた。お客さんに配るため、昨日の夜
    紙に包んで持ってきた。皆さんで一つづつ取って下さい(ここで篭に入れら
    れた豆の包みが客席を回ります。包みには“うただま”と書かれていました)。
    夜作っていたので、どうしてもつまみ食いしてしまった。お酒のつまみに
    良く合うんです(笑)。60個くらい作ったけれど、それから先は酔っぱらって
    いたので、数えていません(笑)。
 3. どこかで春が〜おぼろ月夜
    前回と同様、童謡です。ピアノを弾きながらの唄でした。
 MC 童謡を弾きながら何を唄おうか考えていて、一人で唄って楽しんでいた。
    来春には「春がきた」を唄いたい。歌霊シリーズでは日本の歌を唄って
    いきたい。「おぼろ月夜」は情景が浮かぶ曲。縁側で一杯やるのがいいん
    ですよ。でもあまり飲めない。これでお酒が飲めるようになったら、
    前回唄った「はやり歌のように捨てられて」の歌詞がコーヒーを何杯も飲む、
    ではなくてウイスキーになったらどうしよう。
    春はせつない季節なんです。いつもせつないような気がしますけど。
    デビューが決まって上京してきたのも春で、友達に荷物を運んでもらった
    けれど、その友達が帰るときにとてもせつなくなった。しかもまだ電気が
    来ていなくて、真っ暗な中で「ここが東京だぁ」と思っていた。慣れない
    町でコンビにまで行って、お腹を満たすための炭酸と量の多いメロンパンを
    買った。そのときからメロンパンが好きと言っている。なので春はせつない
    季節。夏になったら「夏ってせつないよね」と言っているかもしれない(笑)。
    次はデビューのきっかけになった、コンテストに応募した曲。
 4. Just Sighs
    伸びやかな声が会場中を包みます。宇井さんはずっと目を閉じたまま唄って
    いました。この日のベストだった気がします。
 5. 世界で一番孤独な時に
    水の中を漂うような浮遊感のある曲でした。間奏部分でクラシックの曲
    (タイトルはわかりません)を挿入していました。
 6. 木枯らしの便り
    やはりこの曲は名曲です。会場が物音ひとつしないくらいに静まりかえって、
    宇井さんの息づかいを聴いているという感じでした。
 MC 「さみしいということは会いたい人がたくさんいるということなんですね」
    家から離れると家族が好きになる。友達にも一度家から出ることを薦めて
    いる。昨日、ライブへの気分を高めるために「となりのトトロ」を観た
    (会場から笑いが…)。このアニメも家族がテーマになっている。他にも
    「マグノーリアの花たち」(?)という映画が好き。泣きながら観たので
    さっき配った豆に涙が付いていたらごめんなさい。(トトロに出てくる
    風景が)実家に似ている。
    (ここで詩の朗読。今回は すぎおゆいさんの「痛み」)
 7. Healing Land
    3拍子の地味目の曲。途中で4小節だけメジャー調になります。会えない人
    へのメッセージで、安らぎの国、届かない場所などから連想させるのは
    やはり妹さんでしょうか。
 8. しゃぼんだま
    ロングトーンがふらふらしていて、ちょっと残念。前半ではギターのミスも
    目立ちました。
 MC 歌霊が始まってからたくさん曲が出来る。やりたいことが見つかったから
    かもしれない。
 9. You are my bright tomorrow あなたの全て(?)
    これも3拍子。優しさのあふれるおだやかな曲でした。

ここで本編終了。20:40でした。アンコールの拍手が起こり、すぐに登場。

 MC 待たせてたってねぇ、用意しているんだから。1曲用意してきました。
    前回はジョン・デンバーさんが亡くなった後だったので「カントリー・
    ロード」を唄いましたが、今回はおはこのカーペンターズです。これまで
    カーペンターズの曲は「Close to you」「Yesterday Once More」
    「Rainy days and Mondays」「Top of the World」を唄ってきましたが、
    その4つではありません。本当は子どもを20人くらい用意しようかと思った。
    仕方がないので、人形でも用意しようかと思った。
#宇井さんは「Close to me」と間違えて言っていました。
E1. Sing
    本来子どもが唄うはずの「ラララ…」が少しフラフラしていました。それ
    以外の部分は余裕の感じられる良い出来でした。
 MC 最後までありがとうございました。また次回お会いしましょう。

予定通り1曲で終了。会場にBGMが流れますが、お客さんは許しません(^_^;)。
さらにアンコールとなりました。

 MC 「どうして?ありがとうございます。何も考えていないっす」お客さんから
    「POWDER LOVE」をリクエストされるものの、ギターのかくさんの譜面がない
    ためできない。「同じ曲じゃ嫌ですよね…いいですか?」お客さんから
    「Healing Land」がリクエストされる。「涙こらえるの大変なんだから。
    結局最後、皆さんを暗くしてしまうんですね(笑)。私の性ですね」
E2. Healing Land
    後半、感極まったのか声がうまく出ていないところがあって、宇井さんには
    珍しい失敗をしていました。失敗というべきかわかりませんが。

 20:50、これで終了でした。1時間15分ほどのライブですが、しっかり宇井さん の世界を作り上げたライブでした。中盤が声が出ていて良かったです。彼女の 歌は、心を鎮静化させる力がありますね。
SAIL Music Laboratoryへ戻る

copyright かみと,1998