fra-foaの音楽はとても哀しい。激しさが増すほどに哀しい。それは、
地雷を踏んだ鈍い感触を覚えた瞬間から始まる、刹那に凝縮された過去の安堵、
現在の悲観、
未来の終幕。
やがて爆音と共に痛みが襲い、すぐに凍てつく寒さへと変わる。
薄れゆく意識の中で、それすらも感じられなくなるとき、
傷ついた心は小さなひかりとなって空へ帰る。
 全てを、冷酷に輝く青白い月だけが見つめている。

 fra-foaの音楽はとても哀しい。激しさが続くほど心を締め付ける。それは、
行方を失い、言い知れぬ焦燥と恐慌を拭えないまま、
あてもなく歩き回る夕暮れ。
過ぎ行く時間に弄ばれ、疲労と体中の生傷を癒すこともできず、
孤独に打ち震える。
そして訪れた夜は消えない。
 全てを、嘲るように青白い月だけが見つめている。


 IDO presentsでfra-foaの招待制ライブが渋谷ON AIR WESTで行われました。 タイトルは「欠けたココロを埋めるため」となっています。 私が会場に着いたときには既に開場した後で、既に100人近い人が入場していました。 しばらくの間、お客さんはそれほど増えなかったのですが、開演直前には結構な 数になっていました。ステージにはDJがいて、何やら音楽を流しています。 ステージ後ろにはスクリーンがあり、うっすらと海や水中の映像などが映し出されて いたようです。
 開演時にはスクリーンが上げられ、その後ろに大きな幕が2枚掲げられていました。 中央部に“ff”、周囲に“fra-foa”の文字が円形に書かれたもの。白地にグレイと グレイ地に白の幕でした。やがてメンバーが登場。

 1. つめたいあさ(?)
 2. “君が笑う…”
 MC 「せっかく来てくれたので、最後まで楽しんでいって下さい。」
    「猫を飼っていたんだけど、すっごい大好きだったんだよね。これからも
    いろんな動物を飼うかもしれないけれど、あの人(猫)まで好きになれる人は
    いないかなぁ、って。」
 3. “消えない夜に…”
    他の曲に比べるとメロディアスな方です。
 MC 「ここまで生きてくると、周りの人が亡くなったりします。死ぬとわかって
    いるのに、なんで生まれてくるんだろうって考えたこともありますけど、
    生まれて感じることがあるから、生まれてきて良かった。」
 4. “秋の空…”
    ギターのチューニングが合っていないまま始まってしまいました。
 MC 「もう半分やっちゃった。…もっとかみしめてやろう。」
 5. 青白い月
    Voの三上ちさこさんが自分のために書いた最初の曲だとか。やはりこの曲は
    パワーがあります。
 6. 夜と朝のすきまに
 7. “記憶の海の中に…”
 MC 「なんか足りないよね。不完全燃焼なんだ。でも満足できないところが
    またいいんだけど。あぁ、面白かった。自分の寿命を犠牲にして来てくれた
    人のため、そのためということではなく、何か残ればいいと思いつつやって
    みます。」
 8. 小さなひかり
 MC 「なんかもっとやりたいよ。せっかく来てくれたのに…。」

 アンコールの拍手は続いていましたが、簡単にアンコールに応じられるわけでは なかったようです。終了は20:10頃で、ほぼ1時間のライブでした。
 どのくらいの人がfra-foaを知らないで見に来たのかわかりませんが、 皆が固唾を飲んで見つめている感じでした。知らない人はあっけにとられていたかも しれません。
 fra-foaの音楽は、激しすぎてきっと世間には受け入れられないんでしょうね。 張り詰めた緊張感から生まれる強さと、それとはうらはらの折れそうな弱さが 共存したバンドだと思います。随所に憂いを感じる音楽です。
 5/24にマキシシングル「月と砂漠」(TFCC-87055)発売だそうです。
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copyright かみと,2000