ジムノペディ企画のライブ“噛み契らナイトvol.3”が渋谷DeSeOで行われました。 倉橋ヨエコさんとジムノペディのファン層が近いこともあり、予想通りたくさんの お客さんが入っていました。
 私が着いたときは倉橋さんの後半で、まともに聴けたのは「人間辞めても」以降。 いつもながらにすごい唄い方です。ただ、華麗な演奏は後ろからは全く見えません。 倉橋さんのお客さんはジムノペディを許容できるような気がするのですが、 逆は難しいかもしれない、と思わせるだけの濃いステージでした。
 続いてジムノペディのステージになります。毎回引き込まれてしまう今の私には、 正直なところ、冷静・客観的に見ることが難しいバンドと言えます。

 0. (Instrumental)
 1. 恥艶の輪
 2. ウタカタ
 3. ジェリー
 4. お医者様
 5. サリエリ
 6. やっと、ひとくち
 7. ヒメゴト花火
 8. ままごと初夜
 9. 13
E1. 夜感リサイタル
E2. トレモロ

 グイグイと引き込んでいく「恥艶の輪」から「ウタカタ」へのつながりは、 アルバム『今宵も、うたかた探し』と同じで、自然に入ってきます。 「ジェリー」は比較的あっさりしていたかもしれません。以前のように、もっと 狂気な部分が見え隠れする方が良いかも。まったりとした「お医者様」で 「ジェリー」の狂気を別の方向へ捻じ曲げていきます。「サリエリ」は今回の アルバムの中で一番気に入っている曲。“どうせこの世は…”と唄う無情感は、 ゆっくりと着実にギリギリと心を絞めつけてきます。夢(むしろ幻想というべきか)と 現実の間を揺らめく魂の叫びが、時間をも止めてしまうかのごとく、もっと濃厚に していってもらいたい曲。「やっと、ひとくち」で、ある種の安堵感のような 落ち付いた気分にさせられます。「ヒメゴト花火」はドラムの鮮烈な響きが 打ち上げ花火のごとく彩りを添えていました。ジムノペディの曲の中では ポップな部類に入ると思われる「ままごと初夜」。歌詞はかなり妖しいものですが。 最後はしっとりと「13」で締めくくります。何度聴いても良い曲です。 この辺りからボーカルはやや疲れ気味、という印象でした。 アンコールで「夜感リサイタル」。この曲で終わるわけもなく、「まだ物足りない あなたへ…」と告げて「トレモロ」。勢いのある曲で、全てをジムノペディの 世界へと染め上げていました。
 6人それぞれの個性がうまく調和していて、まったく隙の無いところは いつもながらに素晴らしい。相変わらず見るべき場所に困るほどでした(と言っても 後ろの方だったのでほとんど見えなかった…)。
 曲数が多いこともありますが、とても充実したライブでした。とはいえ、 あの曲もこの曲もやらなかった…と思ってしまう私は、まだ物足りないのかも。 自分でも呆れるほど、細かいアレンジまで体が憶えていたり、今だとイントロ (もしくは、イントロに入るまでのライブならではの導入部分)で曲名がパッと 浮かんできたります。ある意味、ジムノペディにかなり“洗脳”されていると 言えるのかもしれません。
 フジテレビ系で流れているスポットの効果もあってか、初めてライブを見に来た人も 多かったようです。これまでと違って曲が終わると頻繁に拍手があったりして (一般的にはそれが普通でしょうけれど)。どんどんお客さんが増えている状況で、 ジムノペディから感じられる“場末のキャバレー的なステージ”のイメージからは、 今後どんどん離れていってしまうのでしょうね。それがちょっと残念かも。
 今回からジムノペディのTシャツを売っていました。『雨、ところにより花吹雪』と 『今宵も、うたかた探し』の2枚のアルバムのジャケットをモチーフにしたデザイン。


 音楽や詞のタイプは違いますが、福間未紗さんの描く一つの世界と同じような 波長を感じています。少なくとも私の中では、同じような感覚になることがあります。
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copyright かみと,2004