矢野絢子さんのライブが表参道FABで行なわれました。客数は250くらいでしょうか。 予想通りの盛況ぶりでオールスタンディング。グランドピアノ2日目で、ステージ中央に グランドピアノ、左にはテーブルと吊り下げ型のランプが置いてありました。 17:40頃に暗転するとインド音楽のような音が会場に響きます。その音が突然止まり、 静まり返った客席に届けられる足音を伴って矢野さんが登場。入念にハーモニカを 選びホルダーへ設定し、唄い始めます。

 1. 氷の世界(井上陽水)
    2005年1月19日にシングルとしてリリースするのは井上陽水さんの「氷の世界」。
    壊れそうなリズムで、まるで複雑な連符を繰り返しているかのようです。
 2. 闇の現
 MC 「どうも、今晩は矢野絢子です。矢野絢子ライブツアー“ナイルの一滴〜
    ひやいひやい”へようこそお越しくださいました。今日は最後までごゆっくりと、
    “立って”楽しんでください。私も立たなくていい? 足が疲れたら地べたにでも
    座って(そんな余裕はありません)。ひと月ぶりの東京、相変わらず工事してますね。
 3. 永遠に未完の街
 4. 坊や
 5. ひやいひやい(?)
 6. ニーナ
    静かな客席からすすり泣く声が聞こえます。
 MC 周囲を見渡して「ないんです。」と楽屋へ戻ります。ストップウオッチで時間を
    止めたかのように、待ち続けるお客さん。戻ってきた矢野さんは客席に向かって
    うなずきます。まるで、おとなしく主人の帰りを待っていた犬を認めるように。
    何度も舌なめずりをして次の曲へ。
 7. ゼンマイ仕掛け
 8. 一人の歌
 MC 「ほんの最近ですけど、映像作品でーぶいでー(DVD)が発売されました。もちろん
    持ってますよね。プレーヤーも持ってるんですよね? 自分の唄っているところを
    作品としてみるのは初めて。私が唄っているんだろうな、と思って見てみたら、
    唄っていました。唄っているときの顔は、まぁ、こんなものかと。ファースト
    アルバムの発売記念で、10年後に『青いな…』と思うと思います。アルバムは
    もうひとつの物づくり。でーぶいでーが今年最後の作品です。
    誰のカバーしてたんでしたっけ?(客席から「陽水」の声)そうそう、陽水さん。
    すごい難しいんですよ。唄っているうちにどんどん入ってくる感じで、気持ちいい
    です。陽水さんって福岡ですよね。福岡でライブしたときに、同い年くらいの人で
    この曲を初めて聴いた、私の曲だと思っていた人がいたのにびっくりしました。
    知らない人いますか? いないですよね。あ、いた。同い年くらいですか。
    クリスマスが誕生日で25歳になります。毎年クリスマスにライブをする、嫌な人
    です。歌小屋(高知の“歌小屋の2階”)で24日の24時から唄います。
    (再び「氷の世界」の話になり)知らない人がいてびっくり。本人のやつも聴いて
    みてください。私のやつを聴いた後に。ツアーはあと2か所で、自分は出不精だと
    思っていたけれど、下見して、準備して、こうやって場所の空気を作っていくのは
    面白いと思いました。“私が”面白いと思いました。」
 9. 12月
10. ナイルの一滴

何度もお辞儀をしてステージを降ります。本編終了は18:50頃。アンコールになります。

 MC 「どうも、アンコールありがとうございます。アンコールですかね?
    慣れていないんでね、こういうの。」「抱負を言います。今年はあと2回東京に
    来ます。横浜のクリスマスのイベントと、ロッキンオンカウントダウン。今月は
    最多で月に14本ライブがあります。もっとしてもいいんですけど。今年を終わらす
    ための儀式として、せいせいした気分になります。来年は、のびのびのびと
    のびのびと。もっと深く自分のやっていることを、どこでももっと深く掘り下げて。
    ピアノを弾くときに口を開けて力を抜いて、いい音を出せるように。そんな1年に
    したいです。よいお年を。それとメリークリスマス。」
E1. “明日の晩は二人で…”
E2. てろてろ
    ややフラット気味。曲の終わりにSEが被ります。これ以上アンコールをさせない
    ためと思いますが、早すぎ。

 終演は19:10頃だったでしょうか。濃厚なライブでした。リバーブがほとんど使われて いないこともあって、まるで心臓をえぐるような鋭く強い声で、緊張感というよりも 緊迫感に支配された歌という印象でした。内在するパワーを100%そのまま声と音にして、 まさに過不足ないリアルな音楽の世界です。
 「ニーナ」はやはりすごい曲です。なんとなくどこか抜けていたような気がしない でもありませんが。曲自体が長いこともありますが、この曲のように1曲の中で何度も ゾクゾクする曲は他にほとんどありません。
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copyright かみと,2004