拝郷メイコさん@名古屋でも"flower voice"@表参道を知っていた上で、 伊藤サチコさん@代官山NOMADへ行ってきました。会場のキャパを知っていただけに、 今の時期に伊藤サチコさんがNOMADに出演されるのは、私としてはかなりの驚きです。 NOMADには焼酎が多いのですが、長雲に“ちょううん”と読み仮名が振られて いました。“ながくも”を注文しにくい。

○夕季
  ストローク系のGtVo。
 1. “少年のような瞳をして…”
 2. 言葉にならない声
 3. Don't Stop
 4. 夜の街
 5. “何気ないことで…”
 6. 恋人には
  高音域が不安定なのが気になります。ちょっとブルース調の「Don't Stop」が
  良い感じでしたが、唄い出しのリズムだけが違っていたので、その部分も
  曲に合わせた方が良いと思います。中音域の声の響きはきれいで、軽めの
  柴田淳さんのような声質でした。

○まるみ
  KeyVo。
 1. Sincerely yours
 2. Necessary
 3. 夢で逢えたら(吉田美奈子)
    大瀧詠一さん作の有名な曲で、たくさんの人がカバーしていますが、オリジナル
    と言うなら吉田美奈子さんで良いんですかね?
 4. 夢の扉
 5. This way(?)
  今年の春からライブを始めて、今回で9回目くらいだそうです。名前のような
  体型ですが、口先で唄っているようなベタッとした声の出し方をしていました。
  シンプルな演奏ですがミスタッチも多め。とりあえず自分の唄と演奏を録音して、
  自分で聴いてみることから始めるべきかと。少なくとも私には、良いところが
  見つけられませんでした。

○MEGUMI
  とちぎめぐみさん。サポートでGt。結構年季の入った女性で、カバー曲中心の選曲は
  いわゆるスタンダードと言えるような曲が多かったですね。
 1. Natural Woman(Carole King)
 2. Night in Tunisia(Art Blakey&the Jazz Messengers)
 3. Desperado(Eagles)
 4. Don't make the rule
 5. Can't find my way(Stevie Winwood)
 6. You Oughta Know(Alanis Morissette)
 7. Caravan
  ハスキーな声質で、ずっと唄ってきたような印象の声でした。飲み屋とか
  ブルース系のミュージックレストランのようなところで聴くような音楽という
  気がして、出演するハコが違うような気がしないでもありません。酔っている
  ときに盛り上がるような音楽なので、今回の出演者とは違う雰囲気。
  SUZI KIMさんを思わせるところがあったりして。ギターは結構聴き応えが
  ありました。「Carole King知ってる?」とお客さんに尋ねたりしていましたが、
  最近は知らない人も多いんですかね。

○花乃ルサカ
  清水瑠沙香さん(Vo)と田中花乃さん(Key)。Gtのサポート。
 1. カナリア
 2. 記憶
 3. 砂の花
 4. ボーダー
 5. More Than Words
 6. Ring
 7. My name is love
 8. さよならが聴こえる
  ピアノとボーカルの女性ユニットもたくさんいますが、花乃ルサカもその1組と
  いうことになりそうです。ファルセットの使い方は奥井亜紀さんのようで、
  比較的[ma]に近い路線と言えるかも。ユニットの構成は違いますが、私の
  受けた第一印象はつきよみの音楽に近いような気がしました。ボーカルは
  中低音域の地声がふらついていて、ビシッとした芯が欲しいところ。演奏は
  あまり印象に残りませんでした。お客さんは立ち見が多数となり60人くらいは
  いたかもしれません。ユニットとしての勢いを感じるので、今後どんどん
  世の中に出ていくのでしょう。サンプルCDとかアンケートとかあったようですが、
  花乃ルサカ目当てのお客さんのみが対象だったようです。

○伊藤サチコ
  一気にお客さんが減って、全員がじゅうぶんに座れる25人弱ほどになります(^_^;)。
 1. 天気雨
 2. 雨だれの涙
 MC 「今晩は、伊藤サチコです。お待たせしました。今日は楽しんでいますか。
    縁があって初めて出会えた人もいると思います。縁があって集まって来てくれた
    人もいると思います。今日はここにいる人たちだけの素晴らしい夜を過ごしたいと
    思います。」
 3. カレンダー
 MC 「代官山NOMAD、皆さんがすごく近く感じます。実際そうなんだけどね。」
 4. コップが割れた日
 MC 「見た感じ、よくライブで見かける顔が多いですが復習のつもりで…」と
    アルバム、ワンマンライブの告知。10月17日からAOLのサイトでも企画があるとか。
    「全ての(お客さんの)顔を覗きながら自分の気持ちを丁寧に届けられることも
    限られてくると思いますが、こういう気持ちを忘れずに、一人一人にリボンを
    かけて丁寧に歌を届けていけたらと思います。」
 5. 三日月の夜
E1. 東京の空
    Bメロの演奏、右手は敢えて機械的で冷淡なぐらい、きっちりとスタッカートで
    4ビートを刻む方が良いと思います。
  最初は少し線が細い印象でしたが、PAの関係ではなくパッと視界が開くように
  ぐいぐいと盛り上がっていきます。この日のライブをずっと同じ位置で聴いて
  いたのですが、他の出演者に比べて声量云々だけではなく、お客さんに伝えようと
  いう前向きな意志が誰よりもはっきりと表われていた唄でした。「三日月の夜」は
  まさに月光のストレートな強さのようなものを感じました。他の曲もそうですが
  「一人一人に届けたい」という言葉通り、サチコさんの気持ちの濃さが一段と
  感じられました。お客さんの数に反比例すると言えるのかもしれませんが、
  サチコさんは唄うことの目的や意味をしっかり自覚していることが伝わってきます。
  伊藤サチコさんの曲は、絵や写真、ショートムービーのような、いわば一瞬の
  心の動きを切り取った風景のような作品が多いと思っているのですが、曲によって
  その色合いが鮮やかに表現できていたと思います。
  写真撮影してNOMADスタッフに注意されていた非常識な2人のバカ(1人は最初の出演者
  の頃から全出演者を撮影、しかも度々立ち上がって撮影していた)を除いては、
  ほとんどが伊藤サチコさんのファンと言える人たちと思われ、曲終わりに拍手をする
  タイミングは完全に音が消えてからだったのもかなりの通と言えます。それはまるで
  映画館でエンドロールをしっかりと見終わって幕が下りてからおもむろに席を立つ
  みたいに、余韻を楽しんでいるかのようでした。


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copyright かみと,2005