小林未郁さん企画のイベント“糸蘭懐石”が渋谷duo MUSIC EXCHANGEで 行われました。久しぶりに行われる懐石シリーズで、普段のライブとはガラッと 趣の異なる内容になっています。以下、お品書き。

糸蘭懐石
 (向付) あやつり人形
 (強肴) 斬雪
 〜糸ヲ紡グ〜
 (喰切) カタマリ
 (箸洗) からくり遊園地
 (喰切) 群花
 (中鉢) 献血
 (箸休) かくれんぼ
〜切レナイ糸〜
 (喰切) 飼育小屋
 (預鉢) 鐘突き男の恋
 (八寸) 潜水艦
 (しのぎ) 糸蘭〜タガイニワスレナイ〜
 (喰切) 毒
 (香物) あやつり人形
 (甘味) 気球

続いて出演者。

歌調理………小林未郁
殺陣調理……島口哲朗(剱伎衆カムゐ)
      河口博昭(剱伎衆カムゐ)
      宗像拓郎(剱伎衆カムゐ)
      工藤潤夫
      松尾美香(流星揚羽)
      小川カズ(流星揚羽)
ダンス調理…田中ひろこ(SUSSU)
      中原百合香(SUSSU)
音調理………中家浩嗣(鎌倉組)
      堀田荘一郎(鎌倉組)
三味線調理…柳家小春
隠し味………市川梢

となっています。
 出演者がステージ上で静止、未郁さんは担がれて登場。ロープがつけられています。 ロープを解くと命を吹き込まれた人形のように演奏を始めます。同様に出演者も 一人、また一人と動き始める…というスタート。「斬雪」では未郁さんも木刀で 殺陣に参加していました。「カタマリ」ではソロで弾き語りしていましたが、 キーボードの音が突然切れるハプニングが発生。異常に気づいた鎌倉組メンバーが 音を加えて何とか唄いきります。今回のように一連の流れが決まっている芝居風の 構成では、このようなハプニングが致命的になりうるのですが、なんとか鎌倉組の 絆で乗り切ったという印象でした。
 次に印象的だったのは「献血」でした。ポップかつジャジーでありながら、 すごく伸び伸びとした内容だったと思います。
 最後に「あやつり人形」で再び人形に戻るという構成で、これは容易に想像できる 範囲でした。「かくれんぼ」と「気球」が舞台の流れから外れている感じで、 映画のメイキングのような位置づけを狙ったのかもしれませんが、もう一工夫 欲しかったところ。私なら「気球」でプロジェクターを使い、出演者の紹介を しつつ本人を呼び込んで…というようなエンドロール的な内容にし、最後に全員 揃ったところで「かくれんぼ」でカーテンコールのような位置づけにしたい。
 出演者のクオリティが高いことは素人にもわかるのですが、必ずしも楽曲と 演目が一致していないのが気になりました。「この殺陣の意味は何?」などと 考えると、まったくちぐはぐに見えてしまいます。「鐘突き男の恋」は 多少ストーリー性を感じましたが、歌詞の世界とは微妙なズレを感じました。 また、芝居がかった構成や内容だったので、柱で見えなくなるduoのような ライブハウスよりも、階段状でどの客席からでもステージが見渡せる演劇の小屋の 方が良かったのではないかと思います。
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copyright かみと,2009