奥華子さんのコンサートが大阪市中央公会堂で行われました。タイトルは “10th Anniversary Special Concert 2015 in大阪市中央公会堂”。 四角いスペースで1階席はフラット、音楽専門のスペースではないため吸音する ような素材ではなさそうです。2階席は階段状になっています。貴賓を感じる 建物だけに、ステージの周りの装飾も上品な印象です。
 17:05頃開演。中央にグランドピアノが置いてありますが、通常とは逆向きに セッティングされていました。ふた(屋根)を開けていないので逆向きでも 問題ありません。サポートはVc(男),Va(女),Vl(女),Vl(女),Key,Dr,Gt,Cb。
 1. 君がくれた夏
 MC 7月27日でデビュー10周年。「皆にとって忘れられない火になるように、
    10年分の感謝を歌でお返ししたい。」
 2. 花火
 3. やさしい花
 MC 「曲を予想してくれた?予想を裏切る曲を。」
 4. 愛されていたい
 MC 「愛されていたい」は10年以上前の曲。そのころから愛に飢えていた。
    以前から大阪市中央公会堂が気になっていた。アコースティックなら出演できる
    らしく審査があって、審査通りました。
    ここでカルテットが下がり、Key,Dr,Gt,Cbのサポート。
 5. ロスタイム
 6. 魔法の人
 MC 自分から笑いかけると笑いかけてくれる琴に気付いた。なかなかいい人には
    なれない。
    「新曲やります。」
 7. うそつき(新)
 8. 未来地図
    ハンドマイク。
 MC 大阪滞在3日目。5周年記念も大阪で、赤字覚悟の無料ライブだった。
    大阪のテレビ番組「ちちんぷいぷい」に出演し、料理について尋ねられた。
    唯一作れるのが卵焼きだったので作らされるのかと心配した。
    番組で間寛平さんにお笑いの人と間違えられた。
 9. 初恋
    VnとPfVoの組み合わせ。
 MC サポートメンバーには今回が初めて一緒になる人もいて、いい緊張感がある。
    次は埋もれ気味の曲だけど、曲の世界観が好き。
    ストリングスの紹介。伊藤彩さん(Vn)、納富彩歌さん(Vn)、菊地幹代さん(Va)、
    結城貴弘さん(Va)。
10. 窓辺
 MC 弦の音は好きです。
    大阪にはこだわりがあって、正直に評価してくれるし心に入り込んでくる。
    大阪に認められれば本物じゃないかと思っている。
    「楔」のジャケットは心斎橋で撮影した。
11. 幻の日々
    Vc,Va,Vl,VlのカルテットとPfVo。
12. 10年
 MC 10年前から知ってくれている人もいれば最近知ってくれた人もいる。
    初めて曲を作ったのは17才。なかなか認められないと思っていた自分に
    プロデューサーが「自分がすごいと思っているならとっくに売れているはず」
    と言ってくれたことで自分の考えが甘かったことに気付いた。
    最初は売れたいとか有名になりたいとい気持ちだったけれど、路上ライブを
    するようになって考えが変わった。目の前で聴いてくれた人が「感動した」と
    泣いてくれたことがうれしかった。そういう人を増やしたいと思った。
    メジャーデビューの話が来たときに、偉そうに「路上を続けたい」と言った。
    そのときはレコード会社の人に「それだとお婆さんになってしまう」と言われた。
    レコード会社の人がライブを見に行くと言ってくれたときに、偉そうに
    「お客さんでいっぱいですから」と断っていた。「でもあきらめきれない」と
    言ってくれたことでメジャーで活動することを決めた。
    夢とか目標も大切かもしれないけれど、誰と一緒にやっていくかが重要だと
    思った。何年唄い続けられるかわからないけれど、唄で恩返ししたい。
13. ともしび
    ハンドマイク。途中で「カノン」のフレーズが入ります。
 MC バンドメンバーが戻り、メンバーの紹介。張替智広さん(DrPerc)、
    藤谷一郎さん(Cb)、森本隆寛さん(Gt)、幡宮航太さん(Key)。
    人生は一度きりしかないから後悔する。変わらないものは過去しかない。
    「唄うよ! 心の中で唄ってくださいね。」
14. ガーネット
15. 変わらないもの
16. 笑って笑って
 MC 10周年記念スペシャルコンサート、一日でやるのは無理だな。
    隠れた人気曲を10周年のタイミングでリリースすることになった。
    「ちぎり」とか「みそぎ」とか間違えられた。
17. 楔

本編終了。アンコール。

 MC グッズ紹介。
E1. 友達のままで(新)
    ソロ。
 MC ストリングスカルテットを呼び込みます。
    インタビューを受けたりして10年を振り返ると、「何を目標に」ということを
    考えていないことに気付いた。ライブで皆が聴いてくれるから、皆に会いたいから
    唄っている。
E2. 元気でいてね
 MC 元気でいればまた会える。続けていればまた会える。頑張るとは簡単に言えない
    けれど、自分らしく続けていきたい。
    バンドメンバーを呼び込みます。
E3. HAPPY DAYS
    客席に下りて唄っていました。

 MC (ずっと先のことではなく)日々、明日のことを考えて唄っていきます。
    またライブで会いましょう。
 終演は20:10頃でした。
 前半はボーカルのピッチの甘さが多少ありましたが、比較的滑らかな立ち上がり でした。新曲「うそつき」は「あなたがわたしを嘘つきにする」のフレーズが 耳に残ります。Vnにエフェクトかけていましたが、足元のエフェクターを操作する バイオリニストはあまり見たことがありませんでした。 定番曲「初恋」あたり、しっかりと落ち着いた安定感がありました。 本人も「代表曲となった」と言っているように、奥華子さんらしい楽曲です。 「窓辺」はスッと通るボーカルの響きが印象的です。 「ガーネット」は華子さんの名前を最も広めた曲かもしれません。サウンドとして 力強さを感じる1曲でした。 「変わらないもの」はストリングスのシンクロ感がダイナミックで、この構成である 意味はこの曲のためと言っても良いのではないかと思うくらい。 「友達のままで」では「あなたを好きになりたくないよ」という歌詞が印象的。 「あなたのことが好きだと気付かれたくない」という内容の曲はよくありますが、 それよりももう一段引いているのは華子さんらしい。 ストリングスとしては比較的ピチカートが多かったように思いますが、 ピチカートとボーカルのロングトーンがよく似合っていました。
 MCでも人柄がよく出ていたと思います。がつがつ行く感じはなく控えめ。 売れることや有名になることではなく、聴いてくれた人の心を動かすことを目的に 唄っているというのも、華子さんの場合はきれいごとではないように感じます。 「死ぬまで唄い続ける」という楽観的で無根拠なことは言わず、「いつまで 歌い続けられるかわからないけれど」と言う。「人生は一度しかないから後悔する のもしかたがない」ということを言う。「頑張るとはいえないけれど、自分らしく 続けていく」と言う。そういう飾らないところや、現実をしっかり見据えて、 いろいろな努力と挫折を経験してきたからこそ、自らの身の丈をよくわかっている 音楽活動になっているのだ、と感じたコンサートでした。
SAIL Music Laboratoryへ戻る
copyright かみと,2015